彡(゜)(゜)「ワイは菅野直。日本帝国海軍の撃墜王や」

1 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:16:06.95 ID:yYfQbego0.net
海軍兵学校の生徒には序列がある
鬼の四年、むっつり三年、おふくろ二年、ガキの一年
下級生にとって上級生の命令は絶対だった
 
(`四´)「チンチンはよく洗って入れ!」
(`四´)「チンチンをタオルで隠すな!」
と風呂の入り方にも激が飛ぶ

(`四´)「湯船に入っていいのは三分までだ!」

彡(゚)(゚)「ワイらはカップラーメンかいな」

(´・ω・`)「最近は五分とか六分のも多いから……」
(´・ω・`)「カップラーメン以下だよ」

(`四´)「そこ!無駄口を叩くな!」

彡(゚)(゚) (´・ω・`)『はい!』

41 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:54:42.82 ID:yYfQbego0.net

「はっけよ〜いのこった!!」

(´・ω・`) .。oO(今日は全校生相撲大会が催されていた)
日頃から鍛えている男たちが組んず解れつし
体がぶつかり合う光景はすさまじかった

さてと、そろそろボクも出てみようかな

三十分後
( ;´-ω-` )「ふぅ……ふぅ」

「はっけよ〜いのこった!!」

ドン!
(;´・ω・` )「うっ……」ズサー

5 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:30:50.37 ID:yYfQbego0.net

てすてす

3 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:17:43.80 ID:yYfQbego0.net

(´・ω・`).。oO(言葉は荒いけど……)
指導の仕方はけっこう丁寧だ

彡(゚)(゚)「おいタケ、あれ見てみ……」
(´・ω・`)「どれだい……あーそうゆうことか……」

壁の中央には堂々と大きく達筆な字で書かれた校訓があった

『目に見せて 言うてきかせて させてみて』
『褒めてやらねば 誰もせぬぞよ』

18 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:40:14.81 ID:yYfQbego0.net

(`四´)「お前ら!このふんどしを洗っとけ!」
(;´・ω・` )「はい!」

(;´・ω・` )「チョク、洗ってきて」
彡(•)(•)「だが、断る!」

(;´・ω・` )「忙しいんだから、我がまま言わないでよ」
彡(•)(•)「タケ!お前はワイにばっかり嫌な役をやらせやがって!」

(;´・ω・` )「そんなことないよ!君が適任なだけだよ!」
(;`・ω・´)「こっちも大変なんだから、とにかくさっさとやってよ!!」

(;`・ω・´)「君はふんどしを洗うのは得意だろ!」
彡(●)(●)「あん!馬鹿にしとんのか!!」

(ꐦ`•ω•´)「事実を言ったまでだよ!!」

38 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:52:48.67 ID:yYfQbego0.net

彡(-)(-)「う〜ん、まあこの辺は中々難しい話なんやが……」
彡(゚)(゚)「例えばこの前、映画を見たやろ」

(´・ω・`)「うん!あれには驚いたよ……」
(´・ω・`)「まさか外国の映画が上映されるなんて思ってもなかったし」

(´・ω・`)「オーケストラの少女だっけ?」
(´・ω・`)「あんないい映画を作れるなんて外国の人もすごいよね」

彡(゚)(゚)「それや!」
彡(゚)(゚)「良いものを良いと受け入れることができる」

彡(゚)(゚)「それがリベラルや」
(´・ω・`)「ふーん」

(´・ω・`)「でも、あんな敵性映画を流しても大丈夫なのかな?」
彡(゚)(゚)「それは難しいところやな」

彡(゚)(゚)「まあ、タケはあの映画を見て面白いと思ったんやろ?」
(´・ω・`)「うん!」

彡(゚)(゚)「なら、その気持ちを大切にすることや」
(´・ω・`)「なんだかよく分からないけど……そうするよ」

25 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:44:32.19 ID:yYfQbego0.net

( ¯灬¯ )「先生と言うやつがあるか!」
(;´・ω・` )「あ!すみません、教授……」

海軍学校には変なルールがあった
武官出身の先生は教官、文官出身の先生は教授と呼び分けていた

( ¯灬¯ )「違う!!教官と呼びなさい!」
(;´・ω・` )「え?えーと、すみません教官……」

( ¯灬¯ )「うむ、次から気をつけるように」

(´・ω・`) .。oO(あれ?)
この先生は文官出身だったはずだけど……

彡(゚)(゚)「なんか……おもろそうな人やな」

44 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:56:19.02 ID:yYfQbego0.net

ボクはチョクに救われた
でも、チョク自身はこの後が大変だった

小柄なチョクは格好の獲物となされ
上級生からターゲットとされた

チョクは負け続けた
ボクと同じように負の連鎖が彼を容赦なく襲った

(;´・ω・` ) .。oO(どうしよう……)

ボクが出ていきたいけど……
一度、勝った者はもう土俵には上がれない
同期の皆もチョクを憐れんではいても
自分が彼の立場になることを恐れ沈黙している

16 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:38:54.88 ID:yYfQbego0.net

(´・ω・`) .。oO(結局、殴られるんかい)
=◯)`ω゚)∵ボコッ!!

(#・ω・`)「痛ててて……」
こうして一人ずつ鉄拳制裁を喰らうことになった

(`四´)……
彡(゚)(゚)……

(`四´)「ついでだ!」
=◯)゚)(゚)∵「なんでやねん!」

42 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:55:13.57 ID:yYfQbego0.net

( ;´-ω-` ) .。oO(いったいこれで何人目だろう……)
ボクは負けに負けまくっていた

この大会は負け残り……
つまり、負けた者はだれかに勝つまで土俵を降りることは許されなかった

(;´・ω・` ) .。oO(どうしよう……)
負け続けるほど体力も消耗してまた負けるという
負の連鎖が続いている
このままじゃそのうち力尽きて倒れてしまうよ……

彡(゚)(゚)ノ「よっしゃ!次はワイがいくわ」
(;´・ω・` )「チョク……」

48 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:58:50.29 ID:yYfQbego0.net

( `෴´)「報告よると一位のチームは……」

( `෴´)「自らの判断で勝手に舟に備え付けられていた……」
( `෴´)「鎖の金具を外したそうだ」

( `෴´)「このような不正があったのは甚だ遺憾である!」

( `෴´)「よってこの大会は中止とし……」
( `෴´)「後日、改めて大会をやり直すこととする……以上!!」

(;´・ω・` ) .。oO(ええ……そんな……)
ボクたちはこの大会に合わせて休日返上で猛練習をしてきたんだよ
それなのに金具を外したぐらいの小さなミスで
試合そのものをやり直すなんてあんまりだ……

それに、レースもやり終えた後だよ……
一位のチームが不正したなら、そのチームを失格にして
二位のチームを繰り上げて優勝にすればいいだけじゃないか

49 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:59:16.89 ID:yYfQbego0.net

彡(゚)(゚)「物のあわれを知らん奴やな」
彡(゚)(゚)「たしかに、勝手に金具を外したことは問題かもしれん」

彡(゚)(゚)「けど、それで大会をなかったことにするのは……」
彡(゚)(゚)「やりすぎや」

彡(゚)(゚)「ワイら生徒のこれまでの頑張りを」
彡(゚)(゚)「なんやと思っとるんや……」

彡(゚)(゚)「ほれ見い、鬼の四年まで戸惑ってしまっとるやんけ」

(;`四´)「弱ったなぁ」

彡(゚)(゚)「ハーア、くだらん物言いでつまらん大会になってもうたわ」

4 :風吹けば名無し 警備員[Lv.18(前18)][苗]:2024/05/12(日) 14:24:46.08 ID:AbbKX4cS0.net

前スレ落ちたから心配したで

60 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 15:06:31.22 ID:yYfQbego0.net

次の日
彡(゚)(゚)「じゃあ実家に帰るわ」

川◦-◦)「あら、制服で帰るの?」
川◦-◦)「普通の楽な服装でいけばいいのに……」

彡(゚)(゚)「ワイは外に出るときは必ず制服を着るんや」
彡(゚)(゚)「その方がカッコいいやろ」

川◦-◦)「あらまあ、ずいぶんとおしゃれになって」
川◦-◦)「……元気で体に気をつけて、また顔見せに来てね」

彡(^)(^)「うん!」

53 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 15:01:48.84 ID:yYfQbego0.net

(`四´)「おい一年!!」

(。゚ω゚)「はい!」
彡(●)(●)……ギロッ!!

(;`四´) .。oO(なんという威圧感……)

(;`四´)「最上級生より先に読む奴があるか!!」
(;`四´)「俺が先に読む貸せ!!」バッ

彡(●)(●)……
(;´・ω・` )……

彡(●)(●)「あひゃひゃひゃひゃはひゃ」
(。゚ω゚)「え?」

彡(●)(●)「ヒャッハー!」ぴょーん
(。゚ω゚)「まさか鬼の四年に飛びかかる気?」

(;`・ω・´)「さすがにそれはまずいよ!」ギュッ
彡(●)(●)「武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!武蔵!」

(;`四´)「そこまで読みたいのか……」
彡(●)(●)コクン

46 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:57:38.41 ID:yYfQbego0.net

この日はボートレース大会だった

この大会は学年ごとではなく
4年から1年の混合チームが複数作られ競い合うものだった
ボクたちは放課後にも集まって練習に励んだ

上級生たちと一緒に練習するのは体力的にも精神的にも苦痛だった
それでも彼らと共に汗を流し
上手くなった実感を得たときの感動、褒められたときの喜びは
忘れることはできない

(´・ω・`) .。oO(まあ、結果はというと……)
上位三位にも入れなかったんだけどね
でも、精一杯やったんだから、悔いはないよ

12 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:35:54.15 ID:yYfQbego0.net

彡;(゚)(゚)「は、腹が……」グーギュルギュル
彡;(゚)(゚)「ファッ!満室やんけ!!」

彡;(゚)(゚)「おい!誰でもいいから出ろや!!」
彡;(゚)(゚)「どうせ便意もないくせに籠っとるんやろうが!」

シーン

(;´・ω・` ) .。oO(誰も出ようとしない……)
そりゃそうだ
皆この安息の場所を奪われたくはない

ここは戦場なんだ!最後の砦なんだ!
戦場において譲り合いの精神など……
それこそトイレなだけにクソくらえだ!

彡;(゚)(゚)「あ……」

45 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:56:59.66 ID:yYfQbego0.net

彡;(゚)(゚)「ふぅ……ふぅ」
(`3´)「次はオレや」

(;´・ω・` ) .。oO(チョク……)
彼は肩で息をし、疲れ切っていた
まるでさっきまでのボクのよう

……でも、ボクとは違って
諦めた者が放つ特有の悲壮感は漂っていなかった
彼は猛獣のような鋭い眼光で敵を睨みつけていた

「はっけよ〜いのこった!!」

;(゚)(゚)ミ三三3ダッ!!
チョクはまっしぐらに相手のふところに飛び込んだ
そして勢いそのままに敵の片足を取った

(;`3´)「なっ!!」
;(゚)(゚)ミ「うをおおおりゃああああああああ」

敵はバランスを崩し、倒れた

彡;(゚)(゚)/「よっしゃ!ワイの勝ちやあああああああ!!」

50 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 15:00:23.16 ID:yYfQbego0.net

ボクたちはこの日、海軍の飛行場にきていた

日本には陸軍と海軍があるのだけど空軍というのはない
その代わり、陸海それぞれが独自に開発した戦闘機を持っている

(´・ω・`) .。oO(一つにまとめればいいのに……)
と思うのはおそらく幼稚なのだろう
大人の事情ってやつは大人にならないと理解できないほど複雑なものさ
なんてしょうもないことを考えているボクの横では

彡(^)(^)「ひゃっほう!行け行け!!」
とチョクが大盛り上がりしていた

13 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:37:02.47 ID:yYfQbego0.net

その後、一年生 総勢約400人がグラウンドに集められた
彡(゚)(゚) (´・ω・`)`0´)`0´)`0´)`0´)`0´)`0´)

(`四´)……

(`四´)「今日、一人の……尊い日本男児が散った」
(`四´)「それも仲間に見捨てられてだ……」

(`四´)「帝国軍人としてあるまじき行為だ!」
(`四´)「心当たりのあるものは一歩前へ出ろ!」

彡(゚)(゚)
一人……チョクが前に出た

(;`四´)「すまん……そういう意味ではない」
(;`四´)「仲間を見捨てたと身に覚えのあるものは前に出ろ」

彡(゚)(゚)……
(´・ω・`) .。oO(日本語ってなんて難しいんだろう……)

39 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:53:28.84 ID:yYfQbego0.net

チョクは運動神経抜群だった
剣道の試合では得意の貫き胴で上級生相手でも善戦していた

そしてとても俊敏だった
水泳なんて得意中の得意でまるで魚のようだった

彡(゚)(゚)「ワイは台風で濁流した川も泳ぎ切ったんや」
と嘘丸出しの冗談も言っていた

そんな彼でも、鉄棒は苦手だった

彡;(゚)(゚)「ぐぬぬぬ……」
彡(●)(●)「クソが!なんでできんのや!!」

(´・ω・`) .。oO(真面目だな)
できない自分の不甲斐なさに憤慨してるよ

29 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:47:13.22 ID:yYfQbego0.net

彡(#゚)(゚)……
(#・ω・`)「チョクも殴られたんだね」

彡(#゚)(゚)「なんやねんあのクソの三年ども……」
彡(#゚)(゚)「恨みたくはないが……忘れられんぞ」

(#・ω・`)「噂だと……彼らが入学した時の四年生がとてもヤンチャで……」
(#・ω・`)「自分たちがやられたから、下にもやり返してるんだって」

彡(#゚)(゚)「ふん!物のあわれを知らんやつらが!」
彡(#゚)(゚)「こっちが手をだせんからと、いい気になりおって……」

(`3´)「おう!言ってくれるやないか一年!!」
(;´・ω・` )「あ……」

(`3´)「上に対して敬意がない……修正だ!!」
=◯)゚)(゚) ∵ボコッ!!

彡(#゚)(゚)「くっ……」

19 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:40:58.76 ID:yYfQbego0.net

チョクは体が小さいくせに、よく突っかかってきた
まともに組み合えば、体の大きいボクの敵ではない
でも、彼はその小柄な体を活かして
下から飛び上がるように殴って来る
そうすると顔面を突き上げるかたちになり、余計にきく

剣道の授業でもチョクの俊敏さは活かされていた
彼は接近戦のごちゃごちゃした揉みあいを嫌った
チョクが好んだ戦法は一瞬でかたをつける貫き胴だ

(´・ω・`)/     \(゚)(゚)ミ

少し離れた場所から体をぶつけるように踏み込み
一気に胴をなでるように切り裂いていく

「胴!!!」\(゚)(゚)ミ三三3     (。゚ω゚)/

55 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 15:03:12.54 ID:yYfQbego0.net

(´・ω・`) .。oO(フフフフ……)
ついにきた……ボクたちが望むアレがついにやってきた……

彡(^)(^)「夏休みや!!」
(´^ω^`)「ひゃっほい!」

初めての長期休暇にボクたちは歓喜した

世間ではアメリカとの関係が悪化したり、ソ連とひと悶着あったり
中国との戦争が長引いたり
国家総動員法なんていうおっかなびっくりな法がまかり通っていたりと
いろいろとカオスな状況だった

だけど、学校から解放され自由を得たボクたちにとって
そんなことは知ったこっちゃなかった

32 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:49:18.45 ID:yYfQbego0.net

(´_ゝ`)「彼を恨まないでやってくれ……と言っても無理だろうな」
(´_ゝ`)「言い訳になるが、私たち三年は……」

(´_ゝ`)「当時の四年から…それはひどい暴力を受けた……」
(´_ゝ`)「だから、今の立派な四年生を最上級生に持てた君たちを……」

(´_ゝ`)「とても羨ましく思う」

(#・ω・`)「はい……」
彡(#゚)(゚)「言うてワイら一年も入学を早められて貧乏くじを引いとるがな」

(。゚ω゚)「チョク!」

33 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:49:44.86 ID:yYfQbego0.net

(´_ゝ`)「ハハハハハ、正直なやつだ」
(´_ゝ`)「たしかに、そうだ!」

(´_ゝ`)「初っ端から厳冬訓練なんてやってられないよな」

(´_ゝ`)「では、ここは互いに貧乏くじを引いた者同士ということで……」
(´_ゝ`)「納得してくれないか?」

彡(#゚)(゚)「うん」

(´_ゝ`)「ありがとう」
(´_ゝ`)「では、また」スタスタ

彡(゚)(゚)……
(´・ω・`)……

(´・ω・`)「ねえチョク」
彡(゚)(゚)「ん?なんや?」

(´・ω・`)「リーダーとはあの人のことを言うんだろうね」
彡(゚)(゚)「せやな」

54 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 15:02:19.23 ID:yYfQbego0.net

(;`四´)「ダメだ!!最上級生が優先だ!!!」
彡(●)(●)「ヒャッハー!」ぴょーん

Σ(。゚ω゚)「あ!」
Σ(;`四´)

;`0´)つ「タケ!コレを……」
(;`・ω・´)「武田くん!これは宮本武蔵の新刊じゃないか!」

;`0´)「うん、実家から送って貰ったんだ」
(;`・ω・´)「ナイスタイミング!ほらチョク、新しい武蔵だよ」

彡(●)(●)ピタ
彡(゚)(゚)「ふむふむ……」

( ;´-ω-` )「ふぅ……」
(;´・ω・` )「すみません、これで一件落着ってことで……」

(;`四´)「ああ……」
(;`四´) .。oO(菅野……あいつは要注意だな……)

23 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:43:16.17 ID:yYfQbego0.net

( ;´-ω-` ) .。oO(なにが悲しくて……)
厳しい訓練の後に野郎の汚い尻を見なきゃいけないんだろう…
せっかく味わった達成感も台無しだ

でも、まあなんだかんだこういったことも含めて
ボクたちの仲間意識はさらに強く深められた……と思う

17 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:39:30.41 ID:yYfQbego0.net

(`四´)「お前ら!消毒液を補充しとけ!」
(´・ω・`)「はい!」

(`四´)「お前ら!ちゃんと掃除しろ!」
(;´・ω・` )「はい!」

(;´・ω・` ) .。oO(上級生からの雑務の押し付けは止まることを知らない)
このまま場当たり的に対応していては
とてもじゃないがどこかでキャパオーバーしてしまう
上手いこと仕事を割り振って、効率的に人を動かさないと……

(`四´)「お前ら!アレを準備しろ!」
(;´・ω・` )「はい!」

(;´・ω・` )「工藤くん、お願いできる?」
`0´)ゝ「了解!」

(`四´)「お前ら!アレはどうなっている!」
(;´・ω・` )「はい!」

(;´・ω・` )「佐藤くん、確認してきてくれる?」
`0´)ゝ「任せろ!」

7 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:31:44.24 ID:yYfQbego0.net

続き書いていくで

28 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:46:40.02 ID:yYfQbego0.net

(`3´)「おい、お前!」
(´・ω・` )「はい!」

=◯)`ω゚)∵ボコッ!!

(`3´)「気がたるんどる!」
(#・ω・`)「はい……すみません」

(#・ω・`).。oO(兵学校には理不尽な暴力も多い)

でも、鬼と呼ばれる四年生 (`四´) には
訓示や注意で殴られることはあるけど……

私怨で殴ってくることはなかった

でも、むっつりの三年生(`3´)は四年生がいないと分かれば
なにかにつけて理不尽な暴力を奮ってきた

31 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:48:22.88 ID:yYfQbego0.net

(#・ω・`) .。oO(あの人も……三年生の……)

( `_ゝ´)「もう、いいだろう」
(;`3´)「うっ……鴛淵(オシブチ)!」

(;`3´)「ちっ、善人ぶりやがって……」
(;`3´)「俺たち三年が耐えた屈辱をもう忘れたか!」

( `_ゝ´)「忘れてなどいない……」
( `_ゝ´)「だが、下級生に恨みをぶつけるのは違うだろ!」

(;`3´)「綺麗ごとを……」
(`3´)「あーあ、しらけちまった……行くわ……」スタスタ

(´_ゝ`)……

(´_ゝ`)「すまない……私がもっと早くきていれば……」
(#・ω・`)「いえ、助かりました……ありがとうございます」

彡(#゚)(゚)……

6 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:31:17.29 ID:yYfQbego0.net

おお!やっと書き込めれた

24 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:43:51.86 ID:yYfQbego0.net

座学の真っ最中
(´・ω・`) .。oO(ヒマだなぁ)

海軍学校では軍事訓練は鬼のような厳しさだが
一般科目の授業はのほほんとしている
でも、ヒマはヒマで辛いものがある

(´・ω・`) .。oO(教授の似顔絵でも描いて時間を潰そう)

カキカキ……

( ¯灬¯ )「君……なにを描いているのだね?」
(。゚ω゚)「あ、え、その……」

(。゚ω゚) .。oO(しまった……つい夢中になっていて)
教授が側に来たことに気づけなかった

(。゚ω゚)「先生の……似顔絵です……」
( ¯灬¯ )「む!!」

(;´・ω・` ) .。oO(さすがに温厚な教授でも……)
怒られるよね……

37 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:52:23.35 ID:yYfQbego0.net

ボクはチョクと一緒に図書室に来た

彡(゚)(゚)「はえーこれはすごいで!」
(´・ω・`)「どうしたんだい?」

彡(゚)(゚)「ほれ、マルクスが書いた資本論が置いてあるで」
(´・ω・`)「ん?それのなにがすごいの?」

彡(゚)(゚)「これは社会主義思想に通ずることが書いてあって」
彡(゚)(゚)「その辺の書店じゃ危険思想として禁書になっとるんや」

彡(^)(^)「いやー海軍のリベラリズムもすごいもんや」
(´・ω・`)「リベラリズム?」

彡(゚)(゚)「寛容や、自由って意味やな」
(´・ω・`)「それはそんなにいいことなのかい?」

56 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 15:03:45.58 ID:yYfQbego0.net

(´^ω^`)「ボクは故郷に帰るよ!」
彡(^)(^)「ワイもや!」

彡(゚)(゚)「あ……」
彡(゚)(゚)「でも、その前に会いにいかなアカン人がおったわ」

(`・ω・´)「むむ!恋人かい?」
(`・ω・´)「チョクも隅に置けないね」

彡(゚)(゚)「嫁いでから元気にしとるかな……」
(;´・ω・` )「え?嫁いでるって…既婚者?」

(;´・ω・` )「チョク……不倫はどうかと思うよ……」
彡;(゚)(゚)「アホか!お前の頭はお花畑かいな!!」

51 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 15:00:43.65 ID:yYfQbego0.net

空の上では戦闘機によるアクロバット飛行や、模擬戦が行われていた

木材や鉄で出来た物体が空に浮くだけでも不思議なのに
好き放題、自由自在に飛び回る戦闘機は摩訶不思議としかいいようがない

彡(^)(^)「そこや!そこや!ズダダダダダダ!!」

(`四´)「菅野!いい加減にしろ!!」
(`四´)「浮かれすぎだ!!!」

58 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 15:05:37.11 ID:yYfQbego0.net

・・・

彡(-)(-)「いないな〜い……」
彡(^)(^)「ばあ!!」

( 。•᎑•。)「キャッキャ♡」

彡(^)(^)「かほる姉ェに似てかわいい女の子やな」
川◦-◦)「男の子ですよ直さん……」

彡;(゚)(゚)「ファッ!ホンマかいな!」
彡(^)(^)「なら将来はイケメン確定やん!!」

彡(゚)(゚)「ん?あくびしたで……眠たいんやろうか?」
彡(゚)(゚)「よっしゃ!とっておきの子守唄、歌ったる」

彡(゚)(゚)「こがね〜虫は〜お金〜持ちだ〜♪」

川◦-◦)「あら……その歌は……」
川◦-◦)「直さんに唄ってあげていた……」

川◦-◦)「まだ、覚えてたの?」
彡(^)(^)「うん!」

36 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:51:48.21 ID:yYfQbego0.net

(´・ω・`)「やっぱ戦艦はすごいね」
(´・ω・`)「海の王者だよ」

彡(゚)(゚)「せやな…」
彡(゚)(゚)「けど、平賀教官から聞いたんやけど……」

彡(゚)(゚)「これからは航空母艦が戦いの主役になるかもやと」
(´・ω・`)「航空母艦?」

彡(゚)(゚)「船に戦闘機を乗せれるらしいで」
(´・ω・`)「へーあまり想像できないな」

(;`四´)「お前たち!無駄口を叩くな!!」

52 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 15:01:19.84 ID:yYfQbego0.net

彡(●)(●)「活字……活字をクレメンス……」
(;´・ω・` )「ほら、図書室に着いたよ」

彡(●)(●)「ンゴオオオオオオオオオオオ!!」

あまりに色々な行事にタダでさえ少ないプライベートが皆無になってしばらく
ある日、チョクの読書家魂が叫んだ
本を読ませろ、本を読ませろと叫び狂った

彡(^)(^)「ひゃっほう!本や!本や!」
彡(•)(•)「お!コレは……」

彡(^)(^)「吉川英治作の『宮本武蔵』の新刊やんけ!!」
彡(>)(<)「コレめっさおもろいねん!!」

彡(●)(●)「読むで!読むで!!読むで!!!」
(;´・ω・` )「チョク……少しは落ち着こうよ」

57 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 15:04:36.22 ID:yYfQbego0.net

数日後
名古屋市

ピンポーン!
「はい、どちら様ですか?」

ガラガラ
Σ川◦-◦)「あら!」

彡(^)(^)ゞ「海軍兵学校生徒、菅野直!」
彡(^)(^)「ただいま帰りました!」

川◦-◦)「あら、あら、あら……」
川◦-◦)「なんて立派でたくましくなって……」

川◦-◦) .。oO(これがあの甘えん坊だった直さん……)

43 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:55:40.98 ID:yYfQbego0.net

彡(゚)(゚)「疲れ切っとるようやなタケ」
彡(゚)(゚)「今のお前なら小柄なワイでも余裕で倒せそうや」

(;´・ω・` )「うっ……」
彡(゚)(゚)「ほな、いくで!」

「はっけよ〜いのこった!!」

ドン!とチョクは勢いよくぶつかってきた

(´・ω・`) .。oO(あれ?)
勢いの割には……全然、力が入っていない

彡(゚)(゚)「たく……世話がかかるやつやで……」
彡(゚)(゚)「ほれ、さっさとワイを放り投げんかい」

(´・ω・`)「え?え?」
彡(゚)(゚)「はよせい……八百長やと思われるやろ……」

(´・ω・`) .。oO(そうか……)
チョクはわざと負けようとしてくれてるんだ
ありがとう、助かったよ

グッと力を込めて押し込むとフワッとチョクの体は浮き上り
土俵の外に飛んで行った

彡(゚)(゚)「ぐえー負けたんご」

40 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:53:50.72 ID:yYfQbego0.net

(´・ω・`) .。oO(でも、チョクは真面目なだけの人間ではなかった)

彼はよく隙を見ては外出して門限ギリギリまで帰ってこないこともあった
この前なんて短剣を押さえて慌てて駆けこんできたし
いったい外でなにをやってたんだか

まあ、息抜きを覚えなきゃ
規律の厳しい軍学校での生活なんてやってられないよ

20 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:41:22.28 ID:yYfQbego0.net

(´・ω・`) .。oO(でも、チョクを相手にして一番厄介だったのは……)
相手がどれほど大きくても臆することなく
躊躇なくぶつかっていき
なにがなんでも勝とうとする
不屈の闘志だった

22 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:42:44.97 ID:yYfQbego0.net

(;´・ω・` ) .。oO(でも、その後も大変だった)
舟の座席は固定された堅い木で出来ていたので
尻の皮がよくむけた

ほうっておけば血で、サルの尻のように真っ赤になる
だから、早急な治療が必要だった

その治療方法は……
二人一組になって片方が尻をむき出しにして
もう片方が薬を塗り、はやく乾かすために下敷きで扇ぐ

(;´・ 3 ・ ) 三3 彡(゚)(゚)「はえー」

14 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:37:38.40 ID:yYfQbego0.net

(`四´)「なんだ!誰もいないのか!!」

シーン

(;´・ω・` ) .。oO(誰も前にでない……)
そりゃそうだ
出て行ったら怒られて殴られるに違いないんだから

(`四´)「それでも貴様らは兵学校の生徒か!」
(`四´)「恥を知れ!」

(`四´)「俺は一人……前に出てきた菅野のことを考えると……」
(`四´)「涙がでる!」

彡(゚)(゚)……
(´・ω・`) .。oO(そりゃあ…そうでしょうよ)

27 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:45:47.52 ID:yYfQbego0.net

とても気さくな方でもあり
ある日、チョクと立ち話していたら

彡(゚)(゚)「知っとるか?」
彡(゚)(゚)「あの芥川龍之介もこの学校で教鞭を奮っとたんやぞ」

(´・ω・`)「へー」

彡(゚)(゚)「お!あそこにおるのは……」
彡(゚)(゚)ゝ「平戸艦長、お疲れ様です」

( ¯灬¯ )ゝ「うむ」

(;´・ω・` )「え?」
名前も役職も違うけど……
どういうこと?

(´・ω・` )「チョクどういうことだい?」
彡(゚)(゚)「あの人は何か知らんが訓練艦『平戸』で寝起きしとるんや」

彡(゚)(゚)「それで、試しに平戸艦長と呼んだら気に入ってもらってな」
彡(゚)(゚)「文官出身なんに教官と名乗ったりと……」

彡(゚)(゚)「面白い先生やで」
彡(^)(^)「ワイは平賀教官が好きやわ」

9 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:33:40.57 ID:yYfQbego0.net

(´・ω・`) .。oO(体操が終わったら朝ごはんだ)

食事にはよく鰯(イワシ)が出た
おそらく大量に獲れて安いからだろう
でも、毎回だされてたら飽きてイヤにもなってくる
それを見越してか、ミンチの団子になって出てくることもあるが……
味はイワシのままだ
ボクたちはこの飽き飽きした団子に皮肉を込めて
“粉骨砕身?と名前をつけた

(´・ω・`)「また粉骨砕身だ……」
彡(゚)(゚)バクバク

(´・ω・`)「チョクはよく食べるね……」
(´・ω・`)「イヤにならない?」

彡(゚)(゚)「ん?田舎のメシと比べたら……」
彡(゚)(゚)「ここのメシは上等やで」バクバク

26 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:45:08.94 ID:yYfQbego0.net

教官について調べた

( ¯灬¯ )←は英語の先生で名前は平賀春二
江戸時代の発明家 平賀源内と同じ苗字だが関係はないみたいだ

彼は若き頃、海軍兵学校を受験したが不合格となった
それでも何としてでもこの学校に入りたいと願い
学校の先生として入校を果たした変わり者だ
でも、教授……教官はこよなく海軍を愛し、生徒を愛する
よい先生だった

30 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:47:50.42 ID:yYfQbego0.net

(`3´)「なんだその目……反省がない修正だ!!」
=◯)゚)(゚) ∵ボコッ!!

(;`・ω・´)「もう、やめてください!」

(`3´)「逆らうのか?……修正だ!!!」
=◯)`ω゚)∵ボコッ!!

(#・ω・`)……
彡(#゚)(゚)……

(`3´)「黙っていれば許されるとでも?」
(`3´)「気にいらんな……修正だ!!」

「止めろ!!!」

10 :風吹けば名無し 警備員[Lv.8][苗]:2024/05/12(日) 14:34:34.83 ID:yYfQbego0.net

朝食が終わると授業が始まる
訓練として軍事学、砲術、運用術、信号術、電話術
そして、剣道 or 柔道
座学に物理、化学、数学、英語、歴史

これらがお昼を挟んで午後一時まで行われ
その後は、自習をしたりと自由な時間となっていた

彡(゚)(゚)「なんや?思ってたよりプライべーな時間が多いやんけ」
彡(^)(^)「読書もできそうやな」

(´・ω・`)「チョクは本を読むの?」
(´・ω・`)「なにかおすすめを教えてよ」

彡(゚)(゚)「せやな……やっぱ啄木の一握の砂やな」