明け方に山月記を読み返す🌓🏔🐅

1 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:00:07 ID:SO3+3F1R0.net
🐯・・・

75 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:45:40 ID:a7FfcYxMa.net

仕事してるかどうかには答えなくて草

9 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:03:03 ID:SO3+3F1R0.net

 翌年、監察御史、陳郡の袁傪といふ者、勅命を奉じて嶺南に使し、途に商於の地に宿つた。

次の朝未だ暗い中に出發しようとした所、驛吏が言ふことに、これから先の道に人喰虎が出る故、旅人は白晝でなければ、通れない。今はまだ朝が早いから、今少し待たれたが宜しいでせうと。袁傪は、しかし、供廻りの多勢なのを恃み、驛吏の言葉を斥けて、出發した。

殘月の光をたよりに林中の草地を通つて行つた時、果して一匹の猛虎が叢の中から躍り出た。

虎は、あはや袁傪に躍りかかるかと見えたが、忽ち身を飜して、元の叢に隱れた。叢の中から人間の聲で「あぶない所だつた」と繰返し呟くのが聞えた。

21 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:09:11 ID:SO3+3F1R0.net

いや、そんな事はどうでもいい。己れの中の人間の心がすつかり消えて了へば、恐らく、その方が、己れはしあはせになれるだらう。だのに、己れの中の人間は、その事を、此の上なく恐しく感じてゐるのだ。

ああ、全く、どんなに、恐しく、哀しく、切なく思つてゐるだらう! 己れが人間だつた記憶のなくなることを。この氣持は誰にも分らない。誰にも分らない。己れと同じ身の上に成つた者でなければ。

所で、さうだ。己れがすつかり人間でなくなつて了ふ前に、一つ頼んで置き度いことがある。

42 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:20:38 ID:FYI6WW980.net

>>36
毎日同じスレ立ててるやつ時点で相当危ないだろ…

30 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:13:28 ID:SO3+3F1R0.net

さうだ。お笑ひ草ついでに、今の懷を即席の詩に述べて見ようか。この虎の中に、まだ、曾ての李徴が生きてゐるしるしに。

 袁傪は又下吏に命じて之を書きとらせた。その詩に言ふ。

偶因狂疾成殊類  災患相仍不可逃
今日爪牙誰敢敵  當時聲跡共相高
我爲異物蓬茅下  君已乘軺氣勢豪
此夕溪山對明月  不成長嘯但成嘷

62 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:37:40.14 ID:SO3+3F1R0.net

>>60
かめれおん日記やな
狼疾記・かめれおん日記の2作を合わせて過去帳ってシリーズや

27 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:12:00 ID:6hP+exYZ0.net

つまらなすぎて高校の授業中ずって寝てたわ

65 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:41:08 ID:JmNl1Qw9M.net

イッチはなんで早朝にいつも山月記普及活動してるの?

74 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:45:37 ID:SO3+3F1R0.net

 今でもパラオ本島ほんとう、殊にオギワルからガラルドへ掛けての島民で、ギラ・コシサンと其の妻エビルの話を知らない者は無い。

 ガクラオ部落のギラ・コシサンは大変に大人しい男だった。其の妻のエビルは頗る多情で、部落の誰彼と何時いつも浮名を流しては夫を悲しませていた。

エビルは浮気者だったので、(斯こういう時に「けれども」という接続詞を使いたがるのは温帯人の論理に過ぎない)又、大の嫉妬家[やきもちや]でもあった。己の浮気に夫が当然浮気を以て酬いるであろうことを極度に恐れたのである。

夫が路の真中を歩かずに左側を歩くと、其の左側の家々の娘共はエビルの疑を受けた。逆に右側を歩くと、右側の家々の女達に気があるのだろうと云ってギラ・コシサンは責められるのである。

村の平和と、彼自身の魂の安静との為に、哀れなギラ・コシサンは狭い路の真中を、右にも左にも目をやらずに、唯真下の白い眩しい砂だけを見詰めながら、おずおずと歩かねばならなかった。

68 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:42:16 ID:SO3+3F1R0.net

>>63
李陵はほんまに名作よな
ロマンとか武勇とか葛藤とかどうしようもない悲しみとか全部入っとる

26 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:11:33 ID:e6FW3M7r0.net

>>22
気にするな頑張ってくれ

37 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:19:05 ID:SO3+3F1R0.net

今思へば、全く、己れは、己れの有つてゐた僅かばかりの才能を空費して了つた譯だ。

人生は何事をも爲さぬには餘りに長いが、何事かを爲すには餘りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、事實は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭ふ怠惰とが己れの凡てだつたのだ。

己れよりも遙かに乏しい才能でありながら、それを專一に磨いたがために、堂々たる詩家となつた者が幾らでもゐるのだ。虎と成り果てた今、己れは漸くそれに氣が付いた。それを思ふと、己れは今も胸を灼かれるやうな悔を感じる。

12 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:04:40 ID:SO3+3F1R0.net

都の噂、舊友の消息、袁傪が現在の地位、それに對する李徴の祝辭。青年時代に親しかつた者同志の、あの隔てのない語調で、それ等が語られた後、袁傪は、李徴がどうして今の身となるに至つたかを訊ねた。草中の聲は次のやうに語つた。

58 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:33:43 ID:gIFzpEph0.net

山月記ガイジガイジはよ

48 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:23:21 ID:174NIklL0.net

原作の李徴君はただの鬼畜でええぞ

39 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:19:56 ID:jM1l9EKq0.net

>>34
ここ好き

79 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:49:50 ID:SO3+3F1R0.net

>>76
なんでワイが感情移入しとると思い込むんや感情移入しなけりゃ小説も読めんのか

13 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:05:03 ID:SO3+3F1R0.net

 今から一年程前、自分が旅に出て汝水のほとりに泊つた夜のこと、一睡してから、ふと眼を覺ますと、戸外で誰かが我が名を呼んでゐる。聲に應じて外へ出て見ると、聲は闇の中から頻りに自分を招く。

覺えず、自分は聲を追うて走り出した。

無我夢中で駈けて行く中に、何時しか途は山林に入り、しかも、知らぬ間に自分は左右の手で地を攫んで走つてゐた。何か身體中に力が充ち滿ちたやうな感じで、輕々と岩石を跳び越えて行つた。

氣が付くと、手先や肱のあたりに毛を生じてゐるらしい。

71 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:44:43 ID:SO3+3F1R0.net

『南島譚』

夫婦 中島敦

45 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:21:38 ID:SO3+3F1R0.net

>>40
どのあたりが分からんのやそう難しい話やないで

32 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:15:32 ID:J/kfXXSM0.net

ちゃんと音読してるか?

10 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:03:23 ID:SO3+3F1R0.net

其の聲に袁傪は聞き憶えがあつた。驚懼の中にも、彼は咄嗟に思ひあたつて、叫んだ。「其の聲は、我が友、李徴子ではないか?」

袁傪は李徴と同年に進士の第に登り、友人の少かつた李徴にとつては、最も親しい友であつた。温和な袁傪の性格が、峻峭な李徴の性情と衝突しなかつたためであらう。

 叢の中からは、暫く返辭が無かつた。しのび泣きかと思はれる微かな聲が時々洩れるばかりである。ややあつて、低い聲が答へた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。

49 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:24:03 ID:SO3+3F1R0.net

>>42
ワイはキチガイに片足突っ込んどるが音読をしないだけの理性はあるで
そんなにやりたかったらカラオケ入るわ

5 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:01:39 ID:R5YhKE7/0.net

50歳以上しか採用しない会社の社長が言った、「人生の変え方」
http://sxero.rocheclan.org/4cz08e9/2hmnss63a51ffm.html

Googleの社員食堂に感じた、格差社会のリアル。

http://dcfty.tibiasoft.net/loew1vcs/fa5zfa1nw6wj5l.html

54 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:27:39 ID:SO3+3F1R0.net

>>47
漢文訓読調って言われるような固い文体は>>7までだけでその先はそんなでもないで
>>13からの李徴の語りに入るともっと普通の文章や

書き出しと場面転換のところだけそれっぽい文章にしとけば難しくて格調高く見えるけど見せかけや

2 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:00:16 ID:SO3+3F1R0.net

山月記 中島敦

57 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:33:31 ID:wwAW1NTTM.net

はやく虎になりたーい

43 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:20:48 ID:SO3+3F1R0.net

 漸く四邊[あたり]の暗さが薄らいで來た。木の間を傳つて、何處からか、曉角が哀しげに響き始めた。

 最早、別れを告げねばならぬ。醉はねばならぬ時が、(虎に還らねばならぬ時が)近づいたから、と、李徴の聲が言つた。だが、お別れする前にもう一つ頼みがある。それは我が妻子のことだ。

彼等は未だ虢略にゐる。固より、己れの運命に就いては知る筈がない。君が南から歸つたら、己れは既に死んだと彼等に告げて貰へないだらうか。決して今日のことだけは明かさないで欲しい。

厚かましいお願だが、彼等の孤弱を憐れんで、今後とも道塗に飢凍することのないやうにはからつて戴けるならば、自分にとつて、恩倖、之に過ぎたるは莫い。

73 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:45:29 ID:0kyRugMF0.net

23 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:10:25 ID:VtiqQ2Lox.net

結局本当に虎になったのか自分を虎と思ってるのか

52 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:24:40 ID:SO3+3F1R0.net

 一行が丘の上についた時、彼等は、言はれた通りに振返つて、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。

虎は、既に白く光を失つた月を仰いで、二聲三聲咆哮したかと思ふと、又、元の叢に躍り入つて、再び其の姿を見なかつた。

18 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:07:31 ID:SO3+3F1R0.net

>>16
読んどるぞ

22 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:09:57 ID:SO3+3F1R0.net

>>19
最初からやり直した方がええんか?

16 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:06:24 ID:yIp3aUAU0.net

コピペ早いぞ読んでないやろ

36 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:18:32 ID:SO3+3F1R0.net

>>32
授業でもないのに音読なんてガイジかキチガイみたいやん
でも文章が頭に入らない時には音読すると頭に入るで

36 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:18:32 ID:SO3+3F1R0.net

>>32
授業でもないのに音読なんてガイジかキチガイみたいやん
でも文章が頭に入らない時には音読すると頭に入るで

69 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:43:30 ID:SO3+3F1R0.net

>>66
ろうせいやぞ
>>65
山月記の話ができる人を探しつつ増やしとるんや

76 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:46:40 ID:3MprWynbr.net

引きこもりニートが感情移入してええ話ではないぞ😅

11 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:04:24 ID:SO3+3F1R0.net

 袁傪は恐怖を忘れ、馬から下りて叢に近づき、懷かしげに久濶を叙した。そして、何故叢から出て來ないのかと問うた。

李徴の聲が答へて言ふ。自分は今や異類の身となつてゐる。どうして、おめゝゝと故人の前にあさましい姿をさらせようか。且つ又、自分が姿を現せば、必ず君に畏怖嫌厭の情を起させるに決つてゐるからだ。

しかし、今、圖らずも故人に遇ふことを得て、愧赧の念をも忘れる程に懷かしい。どうか、ほんの暫くでいいから、我が醜惡な今の外形を厭はず、曾て君の友李徴であつた此の自分と話を交して呉れないだらうか。

 後で考へれば不思議だつたが、其の時、袁傪は、この超自然の怪異を、實に素直に受容れて、少しも怪まうとしなかつた。彼は部下に命じて行列の進行を停め、自分は叢の傍に立つて、見えざる聲と對談した。

29 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:13:13 ID:SO3+3F1R0.net

 舊詩を吐き終つた李徴の聲は、突然調子を變へ、自らを嘲るが如くに言つた。

 羞しいことだが、今でも、こんなあさましい身と成り果てた今でも、己れは、己れの詩集が長安風流人士の机の上に置かれてゐる樣を、夢に見ることがあるのだ。岩窟の中に横たはつて見る夢にだよ。嗤つて呉れ。詩人に成りそこなつて虎になつた哀れな男を。

(袁傪は昔の青年李徴の自嘲癖を思出しながら、哀しく聞いてゐた。)

19 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:08:53 ID:e6FW3M7r0.net

漢字が難しいのでフリガナ振ってくれへん?

41 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:20:11 ID:SO3+3F1R0.net

己れは昨夕も、彼處で月に向つて咆えた。誰かに此の苦しみが分つて貰へないかと。

しかし、獸どもは己れの聲を聞いて、唯、懼れ、ひれ伏すばかり。

山も樹も月も露も、一匹の虎が怒り狂つて、哮つてゐるとしか考へない。天に躍り地に伏して嘆いても、誰一人己れの氣持を分つて呉れる者はない。

恰度、人間だつた頃、己れの傷つき易い内心を誰も理解して呉れなかつたやうに。己れの毛皮の濡れたのは、夜露のためばかりではない。

53 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:24:59 ID:SO3+3F1R0.net

(昭和17年2月發表)

28 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:12:30 ID:SO3+3F1R0.net

>>23
虎が李徴の声で喋ってる描写はないんよな
最初に叢から虎が躍り出たのと李徴の声が言った通りに最後に叢から虎が出てきただけやから

51 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:24:21 ID:SO3+3F1R0.net

 袁傪は叢に向つて、懇ろに別れの言葉を述べ、馬に上つた。叢の中からは、又、堪へ得ざるが如き悲泣の聲が洩れた。袁傪も幾度か叢を振返りながら、涙の中に出發した。

24 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:10:29 ID:SO3+3F1R0.net

 袁傪はじめ一行は、息をのんで、叢中の聲の語る不思議に聞入つてゐた。聲は續けて言ふ。

 他でもない。自分は元來詩人として名を成す積りでゐた。しかも、業未だ成らざるに、この運命に立至つた。曾て作る所の詩數百篇、固より、まだ世に行はれてをらぬ。遺稿の所在も最早判らなくなつてゐよう。

所で、その中、今も尚記誦せるものが數十ある。之を我が爲に傳録して戴き度いのだ。
何も、之に仍つて一人前の詩人面をしたいのではない。作の巧拙は知らず、とにかく、産を破り心を狂はせて迄自分が生涯それに執著した所のものを、一部なりとも後代に傳へないでは、死んでも死に切れないのだ。

31 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:15:24 ID:SO3+3F1R0.net

>>23
虎が李徴の声で喋っとる場面はないから李徴が虎を操って人を襲わせてるって解釈も否定はできんけど普通に虎になっとるってのが自然やと思うわ

どっちにしても李徴にとっては人間ではないものになっとるのは本当のことや

25 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:10:53 ID:SO3+3F1R0.net

 袁傪は部下に命じ、筆を執つて叢中の聲に隨つて書きとらせた。李徴の聲は叢の中から朗々と響いた。長短凡そ三十篇、格調高雅、意趣卓逸、一讀して作者の才の非凡を思はせるものばかりである。

しかし、袁傪は感嘆しながらも漠然と次の樣に感じてゐた。成程、作者の素質が第一流に屬するものであることは疑ひない。しかし、この儘では、第一流の作品となるのには、何處か(非常に微妙な點に於て)缺ける所があるのではないか、と。

38 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:19:26 ID:SO3+3F1R0.net

己れには最早人間としての生活は出來ない。たとへ、今、己れが頭の中で、どんな優れた詩を作つたにした所で、どういふ手段で發表できよう。

まして、己れの頭は日毎に虎に近づいて行く。どうすればいいのだ。己れの空費された過去は? 己れは堪らなくなる。

さういふ時、己れは、向うの山の頂の巖に上り、空谷に向つて吼える。この胸を灼く悲しみを誰かに訴へたいのだ。

77 :風吹けば名無し:2020/02/04(火) 05:47:08 ID:SO3+3F1R0.net

>>70
読み方なんかええねん地名だとか意味がわかっとけばええねん

>>72
それはすまんな