彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大物芸術家や」

1 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:18:46.55 ID:16zf69sG0.net
十二月二十日の夕方
(´・ω・`)「それでは、ボクはこの辺で…」
(*-◯-*;)「……」

(´・ω・`)「アドルフー!? 聞こえてるかーい!?」
「屋根裏からでも聞こえるでー! ほななー」

(´・ω・`)「うん バイバーイ!」

(´・ω・`)……
( ´-ω-` )「それでは、お大事に…」

(*-◯-*;)「……クビツェク君」
(´・ω・`)「はい」

(*^◯^*;)「お願い…アドルフと友達のままでいてね……」
(*-◯-*;)「あの子はもうひとりぼっちになってしまうから…」

(´;ω;`)「……はい」

ボクは目に涙をためながら約束した

51 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:43:33.09 ID:16zf69sG0.net

彡(●)(●)「大学なんてクソや!」
彡(●)(●)「古くて時代遅れの上級役人、理解不能な官僚、愚かな木っ端役人!」

彡(●)(●)「こんなゴミどもを生み出す大学なんか全部消し飛べや!」

アドルフの顔色は死人のように青白く
口元からも血の気が引き、唇はほとんど真っ白
でも目は燃えるように輝いていた
ぞっとするくらい…

22 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:30:13.31 ID:16zf69sG0.net

夕方
彡(゚)(゚)「クビツェク、今から宮廷劇場にいくで!」
( ;´-ω-` )「ええ…今日はもう休みたいんだけど…」

彡(•)(•)「ウィーンに来て、宮廷劇場も見ずに眠れるわけないやろ!」
彡(゚)(゚)ノ「はよ行くで!」

┗(゚)(゚)ミ┓三三3    (‘・ω・`; )
アドルフはさっさと歩いて行った

(´・ω・`) .。oO(うーん、この感じもひさびさだなぁ)

彡(゚)(゚)「なにやっとるんや!はよ、こいや!!」
(´・ω・`)「うん」

16 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:27:42.32 ID:16zf69sG0.net

そんなわけで次は〜
(*>ω<*)「はいローストポーク」
彡(゚)(゚)「肉食うの久しぶりや!」ガブッ

彡(>)(<)「あ〜この歯応えとパンケーキのふっくら感がええな」
彡(^)(^)「ベストマッチやで!」

55 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:44:50.85 ID:16zf69sG0.net

(。゚ω゚) .。oO(え?どういうこと…)
だってクララおばさんがまだ生きていた頃…
クララおばさんはボクに手紙を見せながら
アドルフは大学で勉強を頑張っているって
苦しみながらもあんなに喜んでいたじゃないか……

(。゚ω゚) .。oO(嘘……だったの……?)

頭が混乱してとっさに疑問が口を出ていた

56 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:45:25.61 ID:16zf69sG0.net

(。゚ω゚)「それで、これからどうするんだい?」
彡(•)(•)「どうするんだい、と言ったか?」

(´・ω・`)……

( ´-ω-` ) .。oO(ボクは本当にバカだ)
自分のことばかりに浮かれて、まったくアドルフを気にかけていなかった
きっと、この質問も彼は何度も何度も自問自答しただろう
悩む時間は嫌なほどあったんだ
アドルフはウィーンでずっと一人、孤独だったんだから…

(;´・ω・` ) .。oO(そして……)
誰にも打ち明けることも出来ずに
一人で必死に何とかしようとしていたんだ

13 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:26:12.02 ID:16zf69sG0.net

アドルフが住むアパートに向かった
歩くこと数十分

彡(゚)(゚)「ここが今のワイの住み家や」
(´・ω・`)「あれ…予想以上に綺麗なところだね…」

彡(-)(-)「表向きだけや」

ガチャ
(。゚ω゚)「うわっ、石油くさっ!!」

彡(゚)(゚)「大家は留守みたいやな、後で紹介したる」
彡(゚)(゚)「まあ、入れや」

7 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:22:40.40 ID:16zf69sG0.net

彡(-)(-)「あんな小役人の所へは行かん」
(´・ω・`)「それなら一体どこに行くつもりだい?」

彡(-)(-)「……」
(´・ω・`)「ボクの家で一緒にどうだい」

彡(゚)(゚)「ありがたいが、遠慮しとくで」
彡(-)(-)「ワイは…」

アドルフはとたんに目を輝かせ
彡(>)(<)「J(„❛⌄❛„)のところにおるで!」

\(   )ミ「じゃっ!!」
と背を向け駆けていった

18 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:28:43.44 ID:16zf69sG0.net

彡(゚)(゚)「そういえば、ステファニーは今どうしてるんや」
(。゚ω゚)「あ……」

彡(•)(•)「特命を持たせたよな?」
( ´-ω-` )「……」

たしかに、ボクはアドルフからステファニーを監視するよう特命を受けていた
彼の頭の中では次のような筋書きができあがっていた

57 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:45:40.92 ID:RKDnieMF0.net

マッマに心配させんようについた嘘なんやな

54 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:44:21.16 ID:16zf69sG0.net

彡()()「なんであんな分けのわからん絵を描くアホを入学させて……」
彡(●)(●)「ワイが落とされなアカンねん!!」

(。゚ω゚) .。oO(え?どういうこと…)
もしかして美大の入学試験に落ちたの…
そんなはずは……
だって今まで学生として勉強していたじゃないか……
本当は受験に失敗して浪人していたの?

66 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:50:29.73 ID:16zf69sG0.net

彡(•)(•)「さらに我慢ならんのは、住民にはそんな劣悪な環境を与えておいて」
彡(●)(●)「自分たちは郊外の庭付きの豪邸に住んどることや!!」

彡(●)(●)「有り余る財産を持っているのに搾取することしか考えん!」
彡(●)(●)/「ワイらはこの守銭奴どもを駆逐せなアカン!!!」

(;´・ω・` )「う、うん」

14 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:26:49.83 ID:16zf69sG0.net

アドルフの部屋は紙だらけで
ろくに足の踏み場もないような有様だった

彡(゚)(゚)「少し休憩しようや」
(´^ω^`)「食べ物、沢山持ってきたよ」

彡(^)(^)「お、まじでか!」
ガサーとアドルフはスケッチをどかし、場所を確保した

(;´・ω・` )「アドルフ そんながさつに絵をどけていいの?」

彡(゚)(゚)「べつにかまへん」
彡(゚)(゚)/「それよりメシや!」

(`・ω・´)「そうだね それじゃあいくよ」

28 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:32:51.06 ID:16zf69sG0.net

┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`;)┓三三3
アドルフは説明もなくさっさと前を歩いていった
そして

(´・ω・`)「あれ?ここって…」
( ;´-ω-` )「結局、帰ってきただけじゃないか…」

彡(゚)(゚)「なぁにワイに任せて、お前は部屋で待っとれ」
(;´・ω・` )「一体どうするつもりなんだろ…」

待つことしばらく

61 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:47:28.50 ID:16zf69sG0.net

アドルフと歩いていると、眼の前に豪華絢爛な馬車が過ぎ去っていった

(`・ω・´)「あ、アドルフ、皇帝だよ!」
(`・ω・´)「皇帝が馬車に乗って宮殿に入っていくよ!」

彡(゚)(゚)「ほーんで?」

(´・ω・`)「即位六十年だから最近は忙しいんだろうね」
彡(゚)(゚)「あーはいはい」

彡(゚)(゚)「なーにが四十二年の平和を築いた皇帝や……」
彡(●)(●)「何もしとらんだけやんけ!!

27 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:32:30.96 ID:16zf69sG0.net

翌日

(´・ω・`; )「うーん、やっぱりないね…」
(´-ω-` ; )「ピアノを置いていいかって聞くとどこからも苦い顔される…」

彡(゚)(゚)「まっ、当然やな」
彡(゚)(゚)/「駄目で元々や 根気強くいくで」

(´・ω・`)「うん、そうだね」

┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
それからもボクとアドルフはウィーン街を巡ったが

:(´ºωº`):「まずいよ…もう夕方だ」
(;´・ω・` )「今日中に決めて明日、音楽院を受験する予定だったのに…」

彡(-)(-)「しゃあないな…」
彡(゚)(゚)/「奥の手や 着いてこいや」

65 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:49:50.36 ID:16zf69sG0.net

彡(゚)(゚)「この作りやと、日光や外気を得る余裕もない」
彡(゚)(゚)「なんでこんなことが起きるか分かるか?」

(´・ω・`)「わかんない」
彡(゚)(゚)「理由は簡単や、金儲けのためや」

彡(゚)(゚)「地主どもは金のために、狭く高い家を建てたがる」
彡(゚)(゚)「部屋が多いほど、利益が出るのは当然やからな」

彡(-)(-)「けど、そのために住民の生活環境が犠牲になっとる」
彡(゚)(゚)「あろうことか、地下にまで部屋を作る職業家主まで現れる始末や」

彡(•)(•)「まるで地下牢に囚人を押し込めるようや!」
彡(●)(●)「もし子供が住もうものなら死んでまうわ!!」

21 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:29:32.29 ID:16zf69sG0.net

(´ᴖωᴖ`;) .。oO(あり得ないけどね)
それに実際になにも起きなかった
まあ、報告できるようなことは手紙にして四ページぐらいはあるけど
いちいち説明するのも面倒だし……適当にごまかしておこう!

彡(゚)(゚)「貴様…任務を怠ったな…」
(。・ω<)ゞ「テヘッ」

彡(●)(●)「ちっ、極刑に値する過ちやぞ」

35 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:35:43.73 ID:16zf69sG0.net

夜になろうとしていた

ガチャ
彡(゚)(゚)……

(´ᴖωᴖ`)「アドルフ、遅かったね! どこに行ってたんだい?」

彡(゚)(゚)「ああ…少し……な」
彡(゚)(゚)「で、音大の受験どやった?」

(`・ω・´)「ふふふ…」
(´^ω^`)「バッチリ合格さ!」

(´ᴖωᴖ`)「これで二人でとも大学生だね!」
彡(゚)(゚)「……」

(´・ω・`)?
彡(^)(^)「おお…よかったやないか ホンマに…」

32 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:34:49.87 ID:16zf69sG0.net

プロの指揮者も紹介され
\(◎灬◎)

その人の下で総譜の研究や指揮を学べることになった
そして、ボクはヴィオラ奏者として学内オーケストラの一員にもなった

(´-ω-`) .。oO(ウィーンにきた当初は……)
混乱し、戸惑い、先行きがどうなるか不安だったけど……

(`・ω・´) .。oO(今やボクは音大の学生)
これからは、音楽が人生の中心になるんだ!

29 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:33:18.21 ID:16zf69sG0.net

バタン!
彡(゚)(゚)「大家と話がまとまったで!」
彡(゚)(゚)「ここを引き払って二階の大きい部屋に移ることになった」

彡(^)(^)「もちろん、ピアノもOKや!」
(。゚ω゚)「ここの上!?」

彡(-)(-)「まあ……南京虫がたくさんおるという欠点はあるが…」
彡(゚)(゚)「家賃は二十クローネとお得やぞ」

( ;´-ω-` )「うん…そうだね…贅沢は言えないね」

街を巡りまわった末に、元々借りていた部屋の上という
なんとも言えない結果になったが…
アドルフは都会に馴染んでおり
その行動力と話術はさらに磨きがかかっていた

63 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:48:41.11 ID:16zf69sG0.net

彡(゚)(゚)「それに、この間のボスニア併合であやうく戦争になるとこやったやないか」
彡(-)(-)「あんなもん国が弱ってますって言ってるようなもんやで」

彡(゚)(゚)「やっぱり教授なんて信用ならんな!」
彡(•)(•)「クビツェク、お前も教授の話しを鵜呑みにしたらアカンで!」

彡(●)(●)「自分の頭で考えるんや!!」
( ;´-ω-` )「はいはい、解ったよ」

彡(゚)(゚)「お、国民公園についたで!」
彡(^)(^)「ここの英雄広場はパレードをするのに最適なんや!」

(´-ω-`)「自然があってリンツを思い出すね」
彡(-)(-)「せやな…住むところに関してはあの頃のがよかった…」

(´・ω・`)「それは言わない約束でしょ…」

64 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:49:15.93 ID:16zf69sG0.net

┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
リンツの頃と同じようにアドルフとボクはウィーンの街を歩き回った
アドルフの建物好きはさらに磨きがかかっていて
彼のお気に入りのリンク通りでは何時間も建物の説明を受けることもあった

「あそこは〜」\(゚)(゚)ミ(‘・ω・` 😉 .。oO(帰りたい……)

でも、リンツの頃とは違っていることもあった
リンツの街にはあれこれと文句をつけ、改善点を挙げていたが
完成されたウィーンの街にはアドルフも感心していた

しかし、政治に関心を持つようになった彼は
大多数の住民のために健康的な住居の必要性も
視野に入るようになっていた

23 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:30:38.92 ID:16zf69sG0.net

宮廷劇場前
(。゚ω゚)「おお、ホールからもうリンツのとは比べ物にならないや…」

彡(-)(-)「大理石の欄干、ビロードの絨毯、金色に化粧された天井…」
彡(゚)(゚)「これが大都市のなせる技や」

それから、教会、聖堂、塔と……
大都市の豪華絢爛な建物を見て回った
リンツのものとは何もかもが桁違いだった

(´-ω-`)「まるで別の惑星に連れてこられたみたいだ」

69 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:51:15.70 ID:16zf69sG0.net

四日後
彡()()「か……帰ったで……」
(。゚ω゚)「アドルフ!?」

(。゚ω゚)「どうしたんだい?疲れ切ってるじゃないか……」
彡()()「いろ…いろと見て回ってな……けど、成果はあったで…」

彡()()ノ「ほ…れ……」
(´・ω・`)つ

彡()()Zzz……
アドルフからスケッチを受け取ると、彼は寝てしまった

36 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:36:31.52 ID:16zf69sG0.net

(´ᴖωᴖ`)「うん!」
(´・ω・`)「それでね、ボク…ボク……」

彡(゚)(゚)「なんや…?言いたいことならはっきり言いや」

(;´・ω・` )「笑わないで聞いてよ…?」
(;`・ω・´)「ボクは…本気で指揮者になろうと思うんだ!」

彡(゚)(゚)「…指揮者」
(´ᴖωᴖ`)「うん 紹介された先生が素晴らしい人でさ」

彡(•)(•)「先生…?」
(´ᴖωᴖ`)「うん! 普段は大学で教授をしてて指揮者も務めてる凄い人なんだ!」

彡(•)(•)「…教授?」
(´ᴖωᴖ`)「うん! 教授の教えのもとレールから落ちないように頑張らなきゃ」

彡(•)(•)「レール…!?」
(´ᴖωᴖ`)「うん!」

19 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:29:06.85 ID:16zf69sG0.net

J(„❛⌄❛„) .。oO(アドルフがいなくなったことを心配する)

J(„❛⌄❛„) .。oO(アドルフに何か不幸が起きたかもしれないと心配する……)

J(„❛⌄❛„) .。oO(アドルフが病気になったのではないかと心配する……)

J(„❛⌄❛„) .。oOもしかしたらすでに、アドルフは死んでしまったのではないかと……)

そして居ても立ってもいられなくなったステファニーは
慌てて駆けだし、橋を渡り、ボクの家を訪れ

J(„❛ꇴ❛„)「お友達に何か起こったのでしょう?」
と聞きに来るというものだった

53 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:44:13.02 ID:RKDnieMF0.net

美大落ちたんやね

2 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:19:54.80 ID:16zf69sG0.net

翌日
クビチェク家

ガチャ
彡(゚)(゚)………

彡(゚)(゚)「夜中に母さんが死んだ」

37 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:37:10.14 ID:16zf69sG0.net

彡(•)(•)「……」
(´・ω・`)「どうしたの?」

彡(-)(-)「……せやな、しっかり勉強せなアカンな」
彡(゚)(゚)「後悔しないように精一杯、頑張るんやぞ」

(´^ω^`)「うん!!勿論さ!!」

彡(^)(^)「…今日はクビツェクの合格祝いや! ジャンジャン飲むで!」
(´^ω^`)「飲もう飲もう!」

後になって思う
この時、アドルフはボクの合格をどう思っていたのだろうかと……

10 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:24:32.30 ID:16zf69sG0.net

一九〇八年二月
ウィーン駅

ざわ…ー(⚭-⚭(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)⚭-⚭) —ざわ…

( ; ›ω‹ )「あう…あう…」
駅の人の多さにボクは戸惑うしかなかった
勇気を振り絞り、前に出ようとしても

(# ゚Д゚)「どけ」
( ;´-ω-` )「す、すいません…」

(# ゚Д゚)「邪魔だ」
🙁 ;˙꒳˙;):「あう…」

(# ゚Д゚)「Fack You!!」
:(´ºωº`):「あわわわ」

人々は怒鳴りながらボクを元の場所に押し戻してしまう

4 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:21:11.25 ID:16zf69sG0.net

葬儀は厳粛に行われた……
参列者は家族と隣人のみでみすぼらしさが感じられた

(∗ ‘ω’ ∗)「明日はクリスマスだもの……」
(∗ ‘ω’ ∗)「時間を空けられない主婦もたくさんいるのよ」

(´;ω;`)「うん…」

クララ・ヒトラー
夫アロイス・ヒトラーの隣りに眠る
( ・෴・) (*^◯^*)
┏┛墓┗┓┏┛墓┗┓

43 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:39:57.57 ID:16zf69sG0.net

彡(●)(●)「あーアカン!頭が煮詰まってきよった!」

Σ彡(゚)(゚)「お!なんやクビチェク。帰ってきとったんか」
(´・ω・`)「うん、少し前にね」

彡(゚)(゚)「ピアノ使うんか?」
(´・ω・`)「うん」

彡(゚)(゚)「分かったわ、じゃあワイは外に出とる」
(´・ω・`)「またシェーンブルン公園に行くの?」

彡(゚)(゚)「せや、あそこは誰にも邪魔されずに勉強できる」
彡(^)(^)「おあつらえ向きにベンチまで置かれとって最高や!」

彡(゚)(゚)/「ほな」
アドルフは散乱していた資料を戸棚に戻し
本を小脇に抱えて出て言った

(´・ω・`)「よし、ボクはピアノの練習だ」

6 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:22:02.48 ID:16zf69sG0.net

(∗ ‘ω’ ∗)「これからどうするの?」
彡(-)(-)「叔父のラウバルのところに…」

(∗ ‘ω’ ∗)「そう…みんな辛いとは思うけど、こういう時こそ…」
(∗ ‘ω’ ∗)「家族とクリスマスを過ごすことが何よりだと思うわ」

彡(-)(-)「そうですね」

彼は別れ際に、無愛想に言った

47 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:41:44.80 ID:16zf69sG0.net

彡(●)(●) ###
アドルフは歌っていた
怒りをぶちまけながら猛烈な憎悪を込めて社会を批難する歌詞だ

アドルフの感情の吐露はボクの心を揺さぶると同時に
心配で一杯にした
何が彼をそんなにもイラつかせ、情緒を不安定にさせているのか
ボクには分からなかった

48 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:42:10.51 ID:16zf69sG0.net

彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「ワイはステファニーのことを諦める」

(;´・ω・` )「えっ!」

(;´・ω・` ) .。oO(急にどうしたんだよ……)
アドルフにとってステファニーJ(„❛ꇴ❛„)の存在は……
美化された空想の中だけとはいえ
唯一、現世に残されていた愛という絆だった
この残された愛情は、クララおばさんが亡くなった後も
変わらず彼の側にあり、彼を包み込んでいた
でもアドルフはどういうわけか、その大切な思いを捨て去ろうとしている

60 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:46:47.39 ID:16zf69sG0.net

あくる日 宮殿通り

彡(゚)(゚)「はぁー、この国はホンマ駄目やな」
彡(-)(-)「チェコ人、ハンガリー人、スロバキア人、ルーマニア人、イタリア人…」

彡(゚)(゚)「ようこんだけの民族を寄せ集めたわ…」
彡(-)(-)「愚かや 実に愚かや」

彡(•)(•)「この間おまえと行った遊園地もなんやあれは!」
彡(-)(-)「大の大人があんなおもちゃでばか騒ぎしおって…」

(´・ω・`) .。oO(ボクはそれなりに楽しめたけどね…)

50 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:43:03.50 ID:16zf69sG0.net

(;´・ω・` ) .。oO(どうしたらいいんだろう……)
たしかに…アドルフの言うことは……一理あるのかもしれない
それに……
見込みのない恋に恋焦がれるより
諦めた方が心理的負担は減ることだろう

でも、彼女の存在がアドルフを支えてきたのも事実だ
一時の気の迷いで捨ててしまっていいものでは決してないはずだ

(;´・ω・` )「アドルフ、君は疲れてるんだよ」
(;´・ω・` )「とりあえず、今日は寝ようよ」

彡(゚)(゚)「……せやな」

58 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:45:48.69 ID:16zf69sG0.net

アドルフはボクが音楽の道に進めるよう
気にかけ、応援してくれていた……
職人気質で頑固な父を説得してくれたのもアドルフだ

( ;´-ω-` ) .。oO(それに引き換え……)
ボクはなにも彼の力になれなかった
そして今もどうすればいいのか分からない

その後も、アドルフはずっと「どうする」「どうする」と呟いたまま
しばらくすると、一人、本を読みだした

12 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:25:41.78 ID:16zf69sG0.net

彡;(゚)(゚)「トランクでかすぎるやろ…完全なお上りさんやんけ……」
(´ᴖωᴖ`;)「はは…お母さんが色んなもの詰めこんでさ」

ざわ…ー(⚭-⚭(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)⚭-⚭) —ざわ…

彡;(゚)(゚)「とりあえずこッから出るで 五月蝿くてかなわんわ」
( ;´-ω-` )「うん、ぜひともそうしたいね…」

彡(゚)(゚)ノ「ほないくで」

33 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:35:12.04 ID:16zf69sG0.net

(´ᴖωᴖ`) .。oO(アドルフ…)
今すぐ君に知らせたいよ
これでようやく、ボクも君と同じ芸術家のスタート地点に立ったんだよ!

ガチャ
(´ᴖωᴖ`)「ただいま アドルフ!」
(´・ω・`)「あれ、いない?」

(・ω・`;≡;´・ω・)「アドルフー!」

シーン

(´・ω・`)「どこいったんだろ?」

30 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:33:49.35 ID:16zf69sG0.net

翌日
(;`・ω・´)「じゃ、音楽院の受験に行ってくるよ」
彡(^)(^)「おう!頑張るんやで」

テストはすぐに受けることができた
楽器の演奏、その次は歌…そして筆記試験…
ボクは音楽史については独学だったから少しそこが不安だった

25 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:31:33.12 ID:16zf69sG0.net

彡;(゚)(゚)「たくっ 見惚れすぎやで、真夜中になってもうた!」
(`・ω・´;)「なにいってんだい アドルフの方が見惚れてたくせに!」

彡(^)(^)「すばらしい芸術は何度見てもいいもんや!」

こうしてボク達は帰宅した
不機嫌な管理人にチップを払うはめになったけど

彡(-)(-)「ちっ、足下見おって…」

41 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:39:10.40 ID:16zf69sG0.net

(´・ω・`)「ただいま」
彡(-)(-)「うーん……」

(´・ω・`) .。oO(あっ!アドルフが勉強している……)
静かにしないと……
邪魔でもしようものなら、大変なことになる

(´・ω・`) .。oO(それにしても……)
アドルフが勉強を始めると
いろいろな本やメモ書き、建物のスケッチ画があらゆる所に散乱する
床やテーブル、アドルフの寝床のソファーにはもちろん
ボクのピアノやベットにまで侵略してくるから困ったものだ

62 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:48:06.91 ID:16zf69sG0.net

彡(•)(•)「平穏な世界なんてつまらんだけや!」
(;´・ω・` )「この前ロシアとどこかの国が戦争したじゃない」

( ´-ω-` )「なんて言ったかな?極東の……」
(´・ω・`)「ベートーヴェンのジャジャジャジャーンみたいな名前の国」

彡;(゚)(゚)「なんやねんそのふざけた国…」
彡(゚)(゚)「ゆうてもワイらと関係ないやん!」

彡(゚)(゚)「さっさと起きへんかなぁー 一心不乱の大戦争!」
彡(•)(•)「んで世の中の嫌なもん全部吹き飛ばせや!!」

(;´・ω・` )「今の世の中、戦争なんて起こる訳ないじゃん」
(;`・ω・´)「大学の先生もそう言ってたよ」

彡(•)(•)「いいや、近いうち革命的な事件が必ず起こるで!」
彡(●)(●)「てか起これや!起こしたる!」

(;´・ω・` ) .。oO(えぇ…)

59 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:46:32.33 ID:ggF+YvNs0.net

可哀想

24 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:31:06.76 ID:16zf69sG0.net

(¬ω¬)チラッ   彡(゚)(゚)
ひときわ青白く華奢で大きな目
アドルフはまるで宇宙人のよう
きっとボクはこの宇宙人にさらわれて…洗脳されて……

彡(゚)(゚)……
彡(-)(-)「この先に収容所があるんや…」

彡(●)(●)「ぶちこんだろか…?」
(。゚ω゚) .。oO(こころを読まれた!!)

67 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:50:53.52 ID:16zf69sG0.net

彡(゚)(゚)「ちょっと三日間ぐらい留守にするわ」
(´・ω・` )「え?どこに行くの?」

彡(゚)(゚)「先進的な集合住宅がどういったものか実際に見て来るわ」
彡(゚)(゚)ノ「ほな」

15 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:27:16.51 ID:16zf69sG0.net

ジャジャーン
(´ᴖωᴖ`)「まずはジャガイモのパンケーキ」

彡(^)(^)「お、ドイツ家庭料理の代表格やな!」
彡(-)(-)「母さんが作ってくれたのを思い出すで……」パクッ

彡()()「あ〜甘さが抑えてあって塩味が染みとる…」
(´ᴖωᴖ`)「だから肉料理にも合うんだよね」

5 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:21:17.06 ID:RKDnieMF0.net

悲しいなぁ

45 :風吹けば名無し:2024/05/11(土) 14:40:54.16 ID:16zf69sG0.net

一枚目には神々しい山々、樫の巨木、二人の屈強な男と黒い雄牛
二枚目には祈る祭司と兵士…何かの儀式かな?
三枚目にはストーリーが書いてあった

( ¯•ω•¯ )「なにこれ?」

彡(゚)(゚)「見て分かるやろ劇や!」
彡(>)(<)「邪教を打ち倒す二人の戦士の物語や!」

(´・ω・`)「ふーん…」
彡(゚)(゚)「なんや 反応うすいな…」

(´-ω-` ; )「ごめん …明日朝はいからもう寝るね…」
彡(•)(•)「ほーん、学生さんは大変やな」