朝まで山月記を読み返す🌒⛰🐅

1 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:01:18.29 ID:VyXupM6D0.net
🐯・・・

33 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:14:46.91 ID:VyXupM6D0.net

己れは詩によつて名を成さうと思ひながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交つて切磋琢磨に努めたりすることをしなかつた。
かといつて、又、己れは俗物の間に伍することも潔しとしなかつた。共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心との所爲である。

己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨かうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出來なかつた。
己れは次第に世と離れ、人と遠ざかり、憤悶と慙恚とによつて益々己の内なる臆病な自尊心を飼ひふとらせる結果になつた。

人間は誰でも猛獸使であり、その猛獸に當るのが、各人の性情だといふ。己れの場合、この尊大な羞恥心が猛獸だつた。虎だつたのだ。
之が己を損ひ、妻子を苦しめ、友人を傷つけ、果ては、己の外形を斯くの如く、内心にふさはしいものに變へて了つたのだ。

13 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:06:35.53 ID:VyXupM6D0.net

>>6
コピーでも毎回ペーストする範囲考えとるし

>>8
口語訳の小説とか読みたいか?

92 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:46:46.09 ID:VyXupM6D0.net

(昭和17年發表)

6 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:03:13.57 ID:8Db9iiCE0.net

思うけどそろそろコピーではなく手打ちしたらどうや?

87 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:43:40.87 ID:b/b1MVlP0.net

普通にソードアートオンラインの方が面白いやん

109 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 06:00:49.60 ID:Tjayxowr0.net

サンキューガッツ

29 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:11:20.88 ID:VyXupM6D0.net

 舊詩を吐き終つた李徴の聲は、突然調子を變へ、自らを嘲るが如くに言つた。

 羞しいことだが、今でも、こんなあさましい身と成り果てた今でも、己れは、己れの詩集が長安風流人士の机の上に置かれてゐる樣を、夢に見ることがあるのだ。
岩窟の中に横たはつて見る夢にだよ。嗤つて呉れ。詩人に成りそこなつて虎になつた哀れな男を。

(袁傪は昔の青年李徴の自嘲癖を思出しながら、哀しく聞いてゐた。)

24 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:10:14.98 ID:uteiqyDhp.net

これを高校生に読ませるという判断を下した人を表彰したい
教科書メーカーか、文部科学省の役人か知らんけど、素晴らしい判断やった
ワイは虎にも役人にもなれんかったけど

94 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:49:27 ID:VyXupM6D0.net

『南島譚』より

夫婦  中島敦

80 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:40:42.88 ID:VyXupM6D0.net

 偶々此の家の宰たる杜洩[とせつ]が見舞に来た。

病人は杜洩に向つて豎牛の仕打を訴へるが、日頃の信任を承知してゐる杜洩は冗談と考へててんで取合はない。叔孫が尙も餘り眞劍に訴へると、今度は病熱のため心が錯亂したのではないかと、いぶかる風である。

豎牛も亦横から杜洩に目配して、頭の惑亂した病者にはつくづく困り果てたといふ表情を見せる。

しまひに、病人はいら立つて淚を流しながら、痩せ衰へた手で傍の劍を指し、杜洩に「之であの男を殺せ。殺せ、早く!」と叫ぶ。どうしても自分が狂者としてしか扱はれないことを知ると、叔孫は衰へ切つた身體を顫はせて號泣する。

杜洩は牛と目を見合せ、眉をしかめながら、そつと室を出る。客が去つてから始めて、牛男の顔に會體の知れぬ笑が微かに浮かぶ。

83 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:41:32.26 ID:VyXupM6D0.net

>>79
振り仮名削っとるのが悪いんや
ワイかて最初は振り仮名と語釈がなければ読めんかったわ

91 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:46:26.04 ID:b/b1MVlP0.net

普通にソードアートオンラインの方が面白いやん

15 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:07:18.00 ID:VyXupM6D0.net

 今から一年程前、自分が旅に出て汝水のほとりに泊つた夜のこと、一睡してから、ふと眼を覺ますと、戸外で誰かが我が名を呼んでゐる。聲に應じて外へ出て見ると、聲は闇の中から頻りに自分を招く。

覺えず、自分は聲を追うて走り出した。

無我夢中で駈けて行く中に、何時しか途は山林に入り、しかも、知らぬ間に自分は左右の手で地を攫んで走つてゐた。何か身體中に力が充ち滿ちたやうな感じで、輕々と岩石を跳び越えて行つた。

氣が付くと、手先や肱のあたりに毛を生じてゐるらしい。
少し明るくなつてから、谷川に臨んで姿を映して見ると、既に虎となつてゐた。

110 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 06:01:01.29 ID:VyXupM6D0.net

>>108
読んどるやんけ!

85 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:42:07.30 ID:uteiqyDhp.net

>>79
せやで、ワイはだいたい読めてるし
酷い話やけど、ゴム付けずにやった叔孫が悪いわな

76 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:38:56.87 ID:b/b1MVlP0.net

普通にソードアートオンラインの方が面白いやん

59 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:28:31.78 ID:VyXupM6D0.net

 翌朝、從者下僕等を集めて一々撿べて見たが、夢の中の牛男に似た者は誰もゐない。其の後も齊の都に出入りする人々に就いて、それとなく氣を付けて見るが、それらしい人相の男には絶えて出會はない。

 數年後、再び故國に政變が起り、叔孫豹は家族を斉に残して急遽歸國した。

後、大夫として魯の朝に立つに及んで、始めて妻子を呼ばうとしたが、妻は旣に齊の大夫某と通じてゐて、一向夫の許に来ようとはしない。結局、二子孟丙・仲壬[まうへい・ちゆうじん]だけが父の所へ来た。

88 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:44:11.48 ID:VyXupM6D0.net

>>76
山月記初めて読むまでは好きやってんけどな
もう読めんわ両立出来たらええんやけどワイはそうではなかった

61 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:29:26.55 ID:uteiqyDhp.net

>>57
なにを避けて斎に奔った?読めへん

71 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:34:43.24 ID:Xb3JtInN0.net

毎日同じスレ立てて何が目的なんだよ

100 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:52:48.89 ID:VyXupM6D0.net

 パラオ地方では痴情にからむ女同志の喧嘩のことをヘルリスと名付ける。恋人を取られた(或いは取られたと考えた)女が、恋敵の所へ押しかけて行って之これに戦を挑むのである。

戦は常に衆人環視の中で堂々と行われる。何人も其の仲裁を試みることは許されぬ。人々は楽しい興奮を以て見物するだけだ。此この戦は単に口舌にとどまらず、腕力を以て最後の勝敗を決する。但し、武器刃物類を用いないのが原則である。

二人の黒い女が喚わめき、叫び、突き、抓つねり、泣き、倒れる。衣類が――昔は余り衣類をまとう習慣が無かったが、それだけに其の僅かの被覆物は最低限の絶対必要物であった。――毮り破られることは言う迄もない。

大抵の場合、衣類を悉ことごとく毮り取られて竟に立って歩けなくなった方が負と判定されるようである。それ迄には勿論双方とも抓り傷引掻き傷の三十ヶ所や五十ヶ所は負うている。

結局、相手を素裸にして打倒した女が凱歌をあげ、情事に於ける正しき者と認められ、今迄厳正中立を保って見物していた衆人から祝福を受ける。勝者は常に正しく、従って神々の祐助祝福を受けるものだからである。

7 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:03:17.03 ID:VyXupM6D0.net

一年の後、公用で旅に出、汝水のほとりに宿つた時、遂に發狂した。

或夜半、急に顏色を變へて寢床から起上ると、何か譯の分らぬことを叫びつつ其の儘下にとび下りて、闇の中へ駈出した。

彼は二度と戻つて來なかつた。附近の山野を搜索しても、何の手掛りもない。その後李徴がどうなつたかを知る者は、誰もなかつた。

79 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:40:39.22 ID:x2t6wenA0.net

全然読めないんだけどワイの学力の問題なんか?

48 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:20:06.86 ID:jjEH37+i0.net

このスレ初めて開いたけど旧仮名遣いなんやね

93 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:48:03.38 ID:eQZGQO9s0.net

ありがとーもう1回読み直してくる

28 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:10:42.62 ID:pYTG4g7OH.net

科挙に受かって妻子持ちでなんJ民とは格が違う定期

57 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:27:03.12 ID:VyXupM6D0.net

 魯の叔孫豹[しゆくそんへう]がまだ若かつた頃、亂を避けて一度齊に奔つたことがある。

途[みち]に魯の北境庚宗[かうそう]の地で一美婦を見た。俄かに懇ろとなり、一夜を共に過して、さて翌朝別れて齊に入つた。

齊に落着き大夫國氏の娘を娶つて二児を擧げるに及んで、曾ての路傍一夜の契などはすつかり忘れ果てて了つた。

10 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:04:37.67 ID:VyXupM6D0.net

袁傪は李徴と同年に進士の第に登り、友人の少かつた李徴にとつては、最も親しい友であつた。温和な袁傪の性格が、峻峭な李徴の性情と衝突しなかつたためであらう。

 叢の中からは、暫く返辭が無かつた。しのび泣きかと思はれる微かな聲が時々洩れるばかりである。ややあつて、低い聲が答へた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。

 袁傪は恐怖を忘れ、馬から下りて叢に近づき、懷かしげに久濶を叙した。そして、何故叢から出て來ないのかと問うた。

李徴の聲が答へて言ふ。自分は今や異類の身となつてゐる。どうして、おめゝゝと故人の前にあさましい姿をさらせようか。且つ又、自分が姿を現せば、必ず君に畏怖嫌厭の情を起させるに決つてゐるからだ。
しかし、今、圖らずも故人に遇ふことを得て、愧赧の念をも忘れる程に懷かしい。どうか、ほんの暫くでいいから、我が醜惡な今の外形を厭はず、曾て君の友李徴であつた此の自分と話を交して呉れないだらうか。

26 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:10:30.49 ID:VyXupM6D0.net

 袁傪はじめ一行は、息をのんで、叢中の聲の語る不思議に聞入つてゐた。聲は續けて言ふ。

 他でもない。自分は元來詩人として名を成す積りでゐた。しかも、業未だ成らざるに、この運命に立至つた。曾て作る所の詩數百篇、固より、まだ世に行はれてをらぬ。遺稿の所在も最早判らなくなつてゐよう。

所で、その中、今も尚記誦せるものが數十ある。之を我が爲に傳録して戴き度いのだ。
何も、之に仍つて一人前の詩人面をしたいのではない。作の巧拙は知らず、とにかく、産を破り心を狂はせて迄自分が生涯それに執著した所のものを、一部なりとも後代に傳へないでは、死んでも死に切れないのだ。

78 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:39:54.76 ID:VyXupM6D0.net

 次の日から殘酷な所作が始まる。

病人が人に接するのを嫌ふからとて、食事は膳部の者が次室迄運んで置き、それを豎牛が病者の枕頭へ持つて来るのが慣はしであつたのを、今や此の侍者が病人に食を進めなくなつたのである。

差出される食事は悉く自分が喰つて了ひ、からだけを又出して置く。膳部の者は叔孫が喰べたことと思つてゐる。病人が餓を訴へても、牛男は黙つて冷笑するばかり。返辭さへ最早しなくなつた。

誰に助を求めようにも、叔孫には絶えて手段が無いのである。

17 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:08:19.20 ID:Q0f2eMZU0.net

臆病な自尊心と尊大な自尊心って言い回し狂おしいほどすき

31 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:13:11.47 ID:VyXupM6D0.net

 時に、殘月、光冷やかに、白露は地に滋く、樹間を渡る冷風は既に曉の近きを告げてゐた。人々は最早、事の奇異を忘れ、肅然として、この詩人の薄倖を嘆じた。李徴の聲は再び續ける。

 何故こんな運命になつたか判らぬと、先刻は言つたが、しかし、考へやうに依れば、思ひ當ることが全然ないでもない。

人間であつた時、己れは努めて人との交を避けた。人々は己れを倨傲だ、尊大だといつた。實は、それが殆ど羞恥心に近いものであることを、人々は知らなかつた。
勿論、曾ての郷黨の秀才だつた自分に、自尊心が無かつたとは云はない。しかし、それは臆病な自尊心とでもいふべきものであつた。

97 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:51:23.89 ID:TYucpQUV0.net

久しぶりに見たなこれ

38 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:16:12.12 ID:VyXupM6D0.net

己れは昨夕も、彼處で月に向つて咆えた。誰かに此の苦しみが分つて貰へないかと。

しかし、獸どもは己れの聲を聞いて、唯、懼れ、ひれ伏すばかり。山も樹も月も露も、一匹の虎が怒り狂つて、哮つてゐるとしか考へない。天に躍り地に伏して嘆いても、誰一人己れの氣持を分つて呉れる者はない。
恰度、人間だつた頃、己れの傷つき易い内心を誰も理解して呉れなかつたやうに。己れの毛皮の濡れたのは、夜露のためばかりではない。

2 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:01:34.27 ID:VyXupM6D0.net

山月記  中島敦

104 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:58:11.01 ID:VyXupM6D0.net

 エビルの慧眼けいがんが夫の顔色の変化を認めない訳がない。

彼女は直ちに其の原因を突きとめた。一夜、徹底的に夫を糺弾した後、翌朝、男子組合のア・バイに向って出掛けた。

夫を奪おうとした憎むべきリメイに断乎としてヘルリスを挑むべく、海盤車ひとでに襲いかかる大蛸の様な猛烈さで、彼女はア・バイの中に闖入[ちんにゅう]した。

 所が、海盤車[ひとで]と思った相手は、意外なことに痺れ鱏[えい]であった。
一掴みと躍りかかった大蛸は忽たちまち手足を烈しく刺されて退却せねばならなかった。骨髄に徹する憎悪を右腕一つにこめて繰出したエビルの突きは二倍の力で撥ね返され、敵の横腹を抓ろうとする彼女の手首は造作なく捩じ上げられた。

口惜しさに半ば泣きながら渾身の力を以て体当りを試みたが、巧みに体を躱かわされて前にのめり、柱にいやという程額をぶっつけた。目が眩んで倒れる所へ相手が襲いかかって、瞬く間にエビルの着物は悉く毮り去られた。

 エビルが負けた。

14 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:06:46.95 ID:RZdgaw+Wd.net

昔の友人がマジでいいやつなんだよな

37 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:15:43.93 ID:VyXupM6D0.net

己れには最早人間としての生活は出來ない。たとへ、今、己れが頭の中で、どんな優れた詩を作つたにした所で、どういふ手段で發表できよう。

まして、己れの頭は日毎に虎に近づいて行く。
どうすればいいのだ。己れの空費された過去は? 己れは堪らなくなる。

さういふ時、己れは、向うの山の頂の巖に上り、空谷に向つて吼える。この胸を灼く悲しみを誰かに訴へたいのだ。

19 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:08:39.51 ID:JLPL2c8V0.net

読み仮名ないと結構読みにくいな

30 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:11:27.23 ID:VyXupM6D0.net

さうだ。お笑ひ草ついでに、今の懷を即席の詩に述べて見ようか。この虎の中に、まだ、曾ての李徴が生きてゐるしるしに。

 袁傪は又下吏に命じて之を書きとらせた。その詩に言ふ。

偶因狂疾成殊類  災患相仍不可逃
今日爪牙誰敢敵  當時聲跡共相高
我爲異物蓬茅下  君已乘軺氣勢豪
此夕溪山對明月  不成長嘯但成嘷

22 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:09:29.52 ID:VyXupM6D0.net

 それ以來今迄にどんな所行をし續けて來たか、それは到底語るに忍びない。ただ、一日の中に必ず數時間は、人間の心が還つて來る。さういふ時には、曾ての日と同じく、人語も操れれば、複雜な思考にも堪へ得るし、經書の章句をも誦ずることも出來る。

その人間の心で、虎としての己の殘虐な行のあとを見、己の運命をふりかへる時が、最も情なく、恐しく、憤ろしい。

しかし、その、人間にかへる數時間も、日を經るに從つて次第に短くなつて行く。
今迄は、どうして虎などになつたかと怪しんでゐたのに、此の間ひよいと氣が付いて見たら、己れはどうして以前、人間だつたのかと考へてゐた。之は恐しいことだ。

今少し經てば、己れの中の人間の心は、獸としての習慣の中にすつかり埋れて消えて了ふだらう。恰度、古い宮殿の礎が次第に土砂に埋沒するやうに。
さうすれば、しまひに己れは自分の過去を忘れ果て、一匹の虎として狂ひ廻り、今日の樣に途で君と出會つても故人と認めることなく、君を裂き喰うて何の悔も感じないだらう。

一體、獸でも人間でも、もとは何か他のものだつたんだらう。初めはそれを憶えてゐたが、次第に忘れて了ひ、初めから今の形のものだつたと思ひ込んでゐるのではないか? いや、そんな事はどうでもいい。

84 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:41:47.00 ID:hilcP2Dc0.net

>>54
単なるコピペかと思いきやガチで草

46 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:19:22.87 ID:uteiqyDhp.net

>>42
バス江好きやけど、最近ただのあるある漫画になってるよね

86 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:42:42.29 ID:VyXupM6D0.net

 餓と疲れの中に泣きながら、何時か病人はうとゝゝとして夢を見た。いや、眠つたのではなく、幻覺を見ただけかも知れぬ。

重苦しく淀んだ・不吉な豫感に充ちた部屋の空氣の中に、たゞ一つ灯が音も無く燃えてゐる。輝きの無い・いやに白つぽい光である。じつとそれを見てゐる中に、ひどく遠方にーー十里も二十里も彼方にあるもののやうに感じられて來る。

寢てゐる眞上の天井が、何時かの夢の時と同じ樣に、徐々に下降を始める。ゆつくりと、併し確實に、上からの壓迫は加はる。逃れようにも足一つ動かせない。傍を見るとい牛男が立つてゐる。救を求めても、今度は手を伸べて呉れない。黙つてつッ立つた儘にやりと笑ふ。

絶望的な哀願をもう一度繰返すと、急に、慍[おこ]つたやうな固い表情に變り、眉一つ動かさずに凝乎[じつ]と見下す。今や胸の眞上に蔽ひかぶさつて来る真な重みに、最後の悲鳴を擧げた途端に、正氣に返つた。……

77 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:39:07.47 ID:VyXupM6D0.net

>>71
毎日やないで週に3回くらいやろ
曜日も意識せんで読み返そうと思ったら立てとるだけや

90 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:46:04.83 ID:VyXupM6D0.net

 三日の後、魯の名大夫叔孫豹は餓ゑて死んだ。

8 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:03:54.52 ID:PxeQX6mD0.net

口語訳して

66 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:31:41.65 ID:uteiqyDhp.net

>>63
はえーさんがつ

34 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:15:08.66 ID:QwBqbFn+a.net

猛虎魂

50 :風吹けば名無し:2019/11/02(土) 05:22:34.45 ID:VyXupM6D0.net

>>36
戦前の旧制中学教科書にはこういう物語は載らんかった
1942年発表の新しい作品を載せたのもこういう苦悩する作品を載せたのも新しい教科書を模索してた結果でもある

最初に教科書に載ったのは1951年や確か